ブリッジ治療を検討する前に
歯を失った際には、ブリッジ、入れ歯、インプラントという治療の選択肢があります。可能な治療法のメリットとデメリット、メンテナンスなどについてしっかり理解した上で選択することで、長く快適に使うことができ、余計なトラブルを起こさずに済みます。また、ブリッジは自費診療になりますが、審美性の高いものもあります。接着して固定させるため、取り換えるのは大変ですから、後悔しないようしっかり素材の特性やそれぞれの費用、コストパフォーマンスも考慮して、ご自分にとって一番満足できるものを選んでください。
ブリッジとは
失った歯の両隣の歯を削り、そこを土台にして橋を架け渡すように義歯を装着する治療法です。両隣の歯で支える必要があるため、一番奥の歯はブリッジでの治療できません。また、複数本の欠損には向きません。
ブリッジのメリットとデメリット
メリット
- 安定度が高く、天然歯と同じようにしっかり噛むことができます
- 入れ歯と違い、留め具や床などがないため異物感や違和感もありません
- 自然な見た目にすることも可能です。※自費診療になる場合もあります
- 保険適用が可能ですから、費用を抑えられます
- 治療期間が1~2週間程度ととても短く、通院回数も少なくてすみます
デメリット
- 両隣の健康な歯を削る必要があるため、削られた歯の寿命が短くなるリスクがあります
- 歯肉との間に空間ができるため、歯垢がたまりやすく、虫歯や歯周病リスクが上昇します
- 歯肉との間から空気が漏れ、明瞭な発音ができなくなる場合があります
- 欠損歯部分の歯槽骨や衰えやすくなります
ブリッジの保険適用について
ブリッジは保険適用の治療も可能ですが、使える素材が決められているため、他の素材を使いたい場合には自費診療になります。また、欠損した歯の位置や本数などにも細かい条件があるため、ご自分の場合が保険適用でどのような治療が可能なのかを歯科医院でしっかり確かめる必要があります。ブリッジの保険適用について、下記で大まかにまとめましたので参考にしてください。
条件1
1本、あるいは隣り合った2本までの歯を抜いた場合に、ブリッジが保険適用されます。犬歯には適用されないなど細かいルールがあり、欠損部に応じた式を用いて判断します。
条件2
支える両隣の歯が健康であることが保険適用の条件になっています。土台として使えないと判断された場合には、保険適用のブリッジ治療を受けられません。
条件3
前歯かそれ以外かといった歯の位置により保険診療で使える素材も変わってきます。前歯であれば、表面が白いプラスチック製で裏側は銀色のレジン前装冠、小臼歯より奥であればいわゆる銀色になります。
保険適用できないブリッジ
上記の条件に当てはまらない場合以外でも、マイクロスコープなどを使った精密な治療でも保険適用されない場合があります。
ブリッジ素材
オールセラミック
金属を一切使用せず、ジルコニアの骨組みにセラミックを焼き付けて作られています。白くとても自然で、歯茎の黒ずみなども起こらないため審美性が高くなっています。主に審美的な要求が強い前歯の治療に使います。
ジルコニア
歯の色に近く白くて強度もある材料です。変色せずに自然です。主に力のかかる奥歯に使用します。金属アレルギーの方にも有効です。
レジン前装冠
金属のフレームで強度が高く、外側は白いレジンなので銀歯のように悪目立ちしません。ただし、裏側は金属です。ご自分の歯との境に黒ずみが生じる場合があり、レジン部分は経年劣化で黄色っぽくなっていきます。
金銀パラジウム合金
金合金やプラチナの合金でできたブリッジです。金属なので目立ちやすいのですが、色が明るいため銀歯のように色が沈んで欠損しているように見えることはありません。何年か経つと黒ずんでくる場合があります。
ブリッジのメンテナンス
ブリッジ治療を受けたら、歯科医院に通って定期検診を受ける必要があります。
失った歯の部分は、歯肉とブリッジの間に隙間ができるため、歯垢がたまりやすくなっています。歯磨きでは落とせない場合も多いため、ご自宅では歯ブラシだけでなく、歯間ブラシを使って隙間の清掃をしっかり行ってください。歯間ブラシには様々なサイズがありますが、大き過ぎても小さ過ぎてもきれいにできません。歯科医院でちょうどいいサイズを教えてもらい、それを使ってケアしましょう。
ブリッジ以外の選択肢
部分入れ歯
部分入れ歯は、バネなどで留めるため隣の歯に若干の負担はかかりますが、ブリッジより負担が少ない治療法です。また外して洗浄できるため、口腔内のお清潔も保ちやすいと言えます。
ただし、噛む力はブリッジにかなり劣りますし、ズレなどが起こることもあります。バネや床があるため違和感が生じやすく、見た目で入れ歯だとわかってしまうことがあります。
インプラント
噛む力や見た目が天然の歯に近く、他の歯への負担もありません。ただし、自費診療(保険適応外)で、治療期間もブリッジに比べると長くかかりますし外科手術が必要です。また、埋入するインプラントを支える部分の骨が少ない場合には骨を造成する手術を併用することがあります。