インプラント治療するなら知っておきたいこと

インプラントについて

インプラントについてインプラントは、歯を失った際に補う治療法です。これまでのブリッジや入れ歯での治療と違い、噛むという機能を天然歯に近い状態にまで回復できることが大きな特徴になっています。
インプラントという言葉は、人工の材料や部品を身体に入れることですが、歯科治療では人工歯根を顎の骨に埋め込んで行う治療方法をさします。この人工歯根がインプラント体であり、正式には口腔インプラント・歯科インプラントと呼ばれています。

インプラント体は骨などの生体になじみやすい素材が使われており、顎の骨に埋入すると骨としっかり結合して歯根としての役割を果たします。このインプラント体の上に支台であるアバットメントと人工歯を装着してインプラント治療は完了します。インプラント体にアバットメントが一体化したものなどもあり、現在はさまざまなインプラント治療の素材や方法から最適なものを選ぶことができます。

インプラントの素材は何でできているのか

インプラント体は生体親和性の高いチタンやチタン合金が使われています。チタンは人工関節などに使われるほど安全性の高い素材です。
アバットメントはチタン、チタン合金、ジルコニアなどの素材があり、上部構造の人工歯は強度と審美性を両立できるジルコニアや審美性を追求したセラミックなどがあります。

また、インプラント体は日本でも20数種類があります。

大きく分けて、インプラント体とアバットメントが別のツーピース、一体化したワンピースがあります。形状では、ネジ状のスクリュー、円筒状のシリンダーがありますが、骨との結合で良好な結果を得られやすく、噛む力を分散させやすいスクリュータイプが一般的によく使われています。 また、最近は特殊な表面処理を施すことで結合性を上げたものも登場しています。

知っておくべき!インプラント治療のメリットとデメリット

メリット

  • 入れ歯やブリッジと違い、残された天然歯に負担がかかりません
  • 天然歯に近い機能を取り戻すことができ、食事の楽しみを阻害されません
  • 異物感や違和感がなく、会話もスムーズです
  • 審美性が高い治療が可能で、天然の歯のような見た目をキープできます
  • ずれたり外れたりしないので、安心できます

デメリット

  • 歯肉を切開する外科処置が必要です
  • 顎の骨の量や硬さが十分でない場合、骨造成が必要です
  • 保険適応外のため、40万~の費用がかかります
  • インプラントが骨と結合するまでの待つ期間が必要なため、入れ歯やブリッジに比べて治療期間が長くなります
  • 虫歯の心配はありませんが、インプラント周囲炎になる可能性はありますので
    ご自身の歯と同様に日々のケアや定期的な健診が必要です。
  • 全身状態に問題がある方は主治医との連携が必要です

インプラント体と天然歯は違います

天然歯の歯根部分には、歯根膜というクッションのようなものがあります。歯根膜は噛む力を受けてわずかに沈み、最適な圧力をかけるためのセンサーとしても役立っています。インプラント体には歯根膜がないため、噛む力はダイレクトに顎の骨に伝わります。顎の骨の骨膜や関節、筋肉などもセンサーとしての役割を果たしていますが、歯根膜がないためインプラントではセンサーの鋭敏さが天然歯より少し劣ります。そのため、噛み合わせの調整を緻密に行わないと顎の骨に大きな負担がかかることになります。
また、インプラントと歯茎の間には天然歯と比べると細菌が侵入しやすくなっています。そのため、日々のケアをしっかり行い定期的な歯科受診を受けないとインプラント歯周炎になってしまうことがありますので注意しましょう。

当院のインプラントの手術には1回法と2回法があります

インプラント治療は大きく分けて、手術を1回だけ行う1回法と、2回の手術を行う2回法があります。1回法は骨の量や硬さが十分ではないと行うことはできません。

2回法は、1次手術でインプラント体を埋入し、2次手術では埋入したインプラント体を露出させて、アバットメントというインプラント体と人工歯をつなぐものを装着します。
1回法は、インプラント体とアバットメントが一体になったインプラントを使用して1回だけ手術を行います。
どちらも、骨とインプラント体がしっかり結合するまで、数ヶ月かかります。上顎は約5ヶ月、下顎は約3カ月が目安です。

誰でもインプラント治療ができるわけではありません

年齢

インプラントが骨と結合してから顎が成長するとインプラントが埋没してしまうため、成長期である10代のインプラント治療は基本的に行いません。上限は特になく、骨の量があればいくつでもインプラント治療が可能です。

持病

手術が不可欠ですので、徐病があるなどで体調が悪い方や安定しない方はインプラント治療ができません。骨粗鬆症や糖尿病は特に要注意です。生活習慣病がある場合も、しっかり状態をコントロールできていることが重要です。普段飲んでいる薬による出血しやすさなどもありますので、持病がある場合には投薬の種類や期間なども含め、慎重に検討する必要があります。
また、歯周病などで口腔内の状態が良くない場合は、その治療が優先されます。

金属アレルギーとインプラント

インプラント治療で使用するチタンは、生体親和性が高く金属アレルギーを起こしにくい素材ですが、絶対に金属アレルギーを起こさないというわけではありません。心配であればパッチテストなどの検査を受けるようにしましょう。

喫煙とインプラント

喫煙は粘膜の血行を悪化させるため、手術による傷の治癒を遅らせますし、インプラント治療後に起こりやすいインプラント周囲炎のリスクを大幅に上昇させ、悪化させてしまいます。インプラント治療を開始する前に禁煙し、治療後も禁煙を続ける必要があります。

当院でのインプラント治療の特徴

CT検査

CT検査歯科用CTによる検査です。顎の立体的な状態を正確に把握して、コンピューターによる画像解析を行い、3次元での精密な診断を行います。正確な位置や角度、深さへインプラントを埋入するために、そして麻痺などの重大なトラブルを予防するために大切な検査です。

歯周病チェック

インプラント治療を受けると歯周病と同じ原因菌によって起こるインプラント周囲炎になるリスクが上昇します。歯周病がある場合、インプラント治療を受けるとインプラント周囲炎になるリスクが大幅に上昇し、悪化しやすくなります。歯周病がある場合にはしっかり治療して、セルフケアもできるようになってからインプラント治療を行います。

完全個室のオペ室

完全個室のオペ室インプラント治療は外科手術になるため、当院ではインプラント治療専用のオペ室を完備しています。また、感染リスクを避けるため、安心・安全なオペをするために衛星管理の徹底や設備投資もしており、高いレベルでの治療を提供できる環境作りになっております。

インプラントする際の費用は?

費用の確認をインプラント治療はごくまれな例外を除いて自費治療になります。治療方法や本数、追加の処置などによってその費用はかなり違ってきますし、骨の状態にもよりますので個人差があります。治療開始前に、費用についてもしっかり確認しておきましょう。なお、当院では治療開始前に治療内容を入れた見積書をお出しして、ご納得いただいてから治療を開始しています。

また、インプラントには安い価格~高い価格まで医院によって様々です。理由としては、使用しているインプラントメーカーやシステムの違い、担当する歯科医師の技術の違いオペ室完備や設備投資などによる体制の違いが主です。

治療後のメンテナンス

治療後のメンテナンス清掃に関しては治療開始時点から歯科衛生士が丁寧にご指導していますので、インプラント治療が完了してからもそれを続けていただきます。メンテナンスは、治療完了から1カ月、3カ月、6カ月、1年というサイクルで通っていただきます。噛み合わせを確認し、インプラント体周囲骨の吸収状態をレントゲンなどで検査します。
当院では4ヶ月に1回程度、天然歯と一緒にチェックとメンテナンスをしていきます。

インプラントの寿命はどれくらい?

インプラントの10年間の残存率は、部分欠損では上顎約91%、下顎は約96%、歯がない顎では上顎約80%、下顎約97%と報告されています。上顎は鼻腔や副鼻腔という空洞に近いため骨の量がもともと少なく、骨自体も硬くないため残存率が低くなっていると考えられています。ただし、素材や表面加工の有無、ケアやメンテナンスなどにより変わってきます。

他院でインプラントが困難と言われた方へ~骨の量が少ない場合のインプラント治療~

長年、抜けたままにしている、あるいは義歯やブリッジを装着していると、顎の骨が痩せたり吸収されてインプラント体を埋め込むための骨の量が足りないことがあります。こうした場合には、事前に骨造成を行って骨の量を増やしてからインプラント治療が可能になる場合があります。
骨造成には、骨移植法、骨再生誘導法(GBR法)、上顎洞底挙上法(サイナスリフト)などがあります。こうした骨造成を行った場合、通常のインプラント治療期間に加えて移植骨が定着するまで4~6ヶ月が余計にかかります。また骨造成の費用はインプラント治療費とは別に数万円~30万円程度かかります。

骨移植法

下顎後方などから骨を採取して移植します。自家骨ではなく人工骨を用いる場合には、採取のための手術が必要なくなります。

GBR法

遮断膜という特殊な膜を使って周囲粘膜が侵入しない空間を作り、そこに骨を再生させます。

サイナスリフト

上顎の奥歯の上部には、上顎洞という空間があります。骨の量が少なく、インプラントを埋入すると上顎洞に先が出てしまうような場合にサイナスリフトを行います。事前に上顎洞の底の粘膜を持ち上げて空間を作り、そこに自家骨か人工骨を移植します。

ソケットリフト

サイナスリフトと同様の内容ですが、インプラント1本分の上顎洞の底の粘膜を持ち上げて空間を作り、そこに自家骨か人工骨を移植するものです。

オールオン4(All-on-4)

All-on-4は、低侵襲・リーズナブル・スピーディなインプラント治療です。審美性と噛む機能も高く、総入れ歯の方でも負担を抑えたインプラント治療が可能です。

All-on-4をおすすめしたい方

  • 総入れ歯で噛む機能や審美性を回復したい方
  • 入れ歯のズレなどでお悩みの方
  • 総入れ歯が合わなくなって調整や修理を繰り返している方
  • 残っている歯が機能していない方
  • 歯を残すのが困難だと指摘された方

All-on-4の特徴

低侵襲 インプラント治療はこれまで、上下どちらかの片顎全ての歯を補うためには10本のインプラント体埋入が必要でした。オールオン4は、最低4本、多くても6本のインプラント体埋入で片顎すべての歯を補う治療が可能です。
費用が抑えられるだけでなく、手術範囲が狭くなるため低侵襲でお身体への負担も抑えられます。また、手術後腫れや傷みも軽減できます。
骨の量にあまり左右されません オールオン4では、インプラント体を傾斜埋入するため、従来のインプラント手術では骨不足を指摘された方でも骨造成を行わずにインプラント治療が受けられる可能性があります。
リーズナブル インプラント体の埋入本数が最小限に抑えられるため、費用が抑えられます。
スピーディ 埋入手術の際に仮歯を装着するため、当日の食事も可能です。また、残存歯の抜歯が必要なケースであっても、抜歯からインプラント埋入、仮歯の装着が1日で可能です。
高い咀嚼機能の回復 傾斜埋入されたインプラント体は、骨にかかる力を分散させるため、連結歯を安定して支えることができます。そのため、最小限の埋入本数でもしっかり噛むことができ、高い咀嚼機能の回復が見込めます。
審美性 透明感のある天然歯のような人工歯を装着できることはもちろん、歯茎のボリュームや形にも悪影響を及ぼさないため、フェイスラインが崩れません。また、埋め込まれたインプラント体は噛むことで歯槽骨に刺激を与え、歯槽骨の痩せや吸収を防ぎます。これにより、シワやたるみ、口元がしぼんだような老けた印象を与えにくくなります。

無理だと諦めていた方にも

他院でインプラント治療ができないと言われた方でも、当院ではAll-on-4や骨移植などにより可能なケースが多くなっています。高度な検査機器や治療機器を導入し、治療技術や知識を絶えず最新のものにブラッシュアップして、お一人でも多くの患者さんに「治療を受けてよかった」と思っていただく診療ができるようにしています。あきらめている方、ご不安がある方もお気軽にいらしてください。

麻酔について

麻酔についてインプラント埋入手術は、抜歯などと同じように局所麻酔だけで行うことも可能です。局所麻酔では痛みこそありませんが、恐怖心や不安が起こりやすく、身体に余計な力が入って大きなストレスになる可能性があります。
そこで当院では、うとうとした状態になる安全な静脈内鎮静法を導入しています。麻酔専門医がお身体の状態をしっかり見守りながら手術を行っておりますので、ご安心ください。